経済・政治・国際

2008年11月29日 (土)

世界の中の日本

■贅沢な勉強会

 一流の講師を呼んで、年に数回、じっくり勉強しようとはじまった勉強会のようです。私も知り合いの方から声をかけていただき、何度か参加させてもらってきました。

 通常、講師が話す時間は60分~90分が平均でしょうが、名前に「贅沢(ぜいたく)」がつくだけあって、3時間みっちり話を聞けます。

 今回のテーマは「世界の食料危機と食の安全」講師は、農民運動全国連合会(農民連)の真嶋良孝副会長です。

 今年に入って、中国の冷凍餃子や汚染米など、食の安全や、地球温暖化と異常気象による食料不足や物価の高騰など、食をめぐる問題が大きくクローズアップされるようになりました。

 池袋にある農民連の事務所にも、毎週のようにマスコミ関係者からの取材が、あったそうです。11月18日の「ガイヤの夜明け」では、汚染米の問題を取り上げ、農民連が登場しました。

●冷凍ホウレン草と冷凍餃子

 2000年の時点で、農民連は中国へ視察に行き、広大な農地に栽培され収穫間際のホウレン草に、素手で農薬をまいている姿を目撃。

 そもそも、中国では、ホウレン草は栽培されておらず、日本の企業が種、肥料、農薬、技術を持ち込んで栽培したという経過がある。つまり、これは、すべて日本向け。

 帰国後すぐに、冷凍ホウレン草を、農民連の分析センターで検査。当初、検査する側も、「まさか農薬が検出されるはずがない!」と。ところが、基準値を大きく上回って検出された。そのデーターを元に、厚労省への交渉を繰り返し、中国の冷凍ホウレン草が輸入停止になったのが、もう7年前。

 その経験が、まったく活かされていなかった。と。

 今回の冷凍餃子での交渉では、「餃子には数種の野菜が使われているため、どの野菜から検出されたか特定することが出来ないから、やらない」と。

 真嶋さんは「国民の命と健康を仮にも預かる検査機関なわけで、どこから検出されたかわからなくたって、良いじゃないか」と。(その通り!)

●汚染米

 汚染米は、カビや基準値を超える農薬が検出されたお米(事故米)を、元の値の10~15倍の値段で、食用として使用されていた問題。この汚染米の8割が、輸入米(ミニマムアクセス米)。

 「汚染米問題は、農水省の半ば承認のもとにやられていたことが、他と比べられない深刻さがあると思う」と、真嶋さんは指摘します。

 1995年にWTOで、農産物の完全自由化を求められます。そこで、日本は、米の自由化するかわりに、消費量の7%(77万トン)を輸入することを約束します。→これが、ミニマムアクセス米(MA米)と言われるものです。

 しかし、必死に輸入しているのは日本だけ。アメリカも韓国もミニマムアクセスの対象になっている農産物はあっても、「需要がありませんので、輸入できませんでした」と、報告してすんでいます。

 日本では、米があまっていると日本の農民には、水田の4割もの減反(米をつくらせない)を押し付けながら、毎年、アメリカ、中国などから、必死で売れもしない米を義務だと言いながら輸入しています。

 そこで、本来なら、汚染された食品は水際で輸出国に返されるはずが、数量をかせぐために、事故米(汚染米)として、国内に入り、工業用が食用に化けて、私たちの口に入ってしまった。

 さらに問題なのは、日本がいらない米を77万トンも輸入することによって、フィリピンが緊急に必要とした70万トンの米が買えない状況を作り出しているということです。

 世界的な食糧危機、温暖化の問題を考えれば、「いらない米を、(石油を大量に使って)輸入するのは、やめさせよう!!」 (その通り!)

●食糧主権

 いま世界では、「食糧主権」を、国の憲法に書き込ませる運動が、特に南米で進んでいるようです。

 「食糧主権」とは、地球上のすべての人々が安全でおいしいものを食べる権利であり、こういう食べ物を家族経営農民が持続可能なやり方で生産する権利(国民主権)。また、こういう政策を、WTOなどの国際機関や大国の干渉を排除して実施する国家の権利(国家主権)です。

 1993年にスペイン語で農民の道という国際的な農民組織「Via Campesina」(ビア・カンペシーナ)が誕生。

 1996年に「食糧主権」という言葉が発言されます。

 農民連は、その3年後から参加するようになったそうです。ビア・カンペシーナの加入組織は、5大陸、68ヵ国、190組織に拡大し、ますます勢いずいているようです。

 その会議にはじめから参加している真嶋さんは、「なんで、日本がここにいるのか?トヨタとソニーに国でしょ。日本に農業なんてあるの!?」と言われたそうです。

 「日本は、確かに世界に迷惑をかけているけど、日本もMA米などWTOで迷惑を一番こうむっている国なんだ」と話すそうです。

 洞爺湖サミットの対抗行動の時に、札幌でビア・カンペシーナと農民連などが主催した国際会議が行われました。

 10月に行われたビア・カンペシーナの総会で、「その後、組織は増えているのか?」と聞かれ、「少し」と答えると、「なんだ、少しか」と他の代表から言われたそうです。すると、インドネシアのヘンリー・サラギさんが、「日本みたいな農業がどんどん減っているところで、組織を増やしているということは、すごいことなんだ。そんなこと言うな」と、言ったそうです。

 私も、シンポジュームや札幌の会議に参加し、ヘンリー・サラギさんと会っていたので、この話を聞いて、なんだか自分のことのように嬉しかったです。

●新しい植民地主義

 いま、世界では、先進国が、インドネシアやフィリピン、ブラジル、アフリカなどの土地の買占めがはじまり、新たな植民地主義が進行しているそうです。

 日本の商社もバイオ燃料の原料調達のために、インドネシア、ブラジル、などに何十万万haの土地を確保しはじめている。

 フィリピンでは、「大地主が持っていた土地(123万ha)を、小作のものに!」という農地改革の取り組みが行われていたそうです。その土地の権利が、いきなり中国にもっていかれる事態にもなり、ますます「食糧主権」を掲げた運動が大事になっている。と。

●最後に・・・感想・・・

 農業、食糧問題を考えるとき、世界の67億人の人々に思いをめぐらし、考えなければいけないと思いました。

 真嶋さんの資料に・・・

 異常に低い自給率の結果、人口2%の日本は、世界貿易に出回る食糧の10%を買いあさっている。

 『世界がもし百人の村だったら』流にいうと、たった2人の村人が10人分の食糧を買いあさり、その結果、13人が飢えている。このうち、4~5人は子どもたち。

 こういう買いあさりは、飢餓で苦しむ人々の食糧主権に対する侵害。日本政府に対し、食糧自給率の抜本的向上を求めることは、日本で生き、たたかう私たちの国際的な責務。

 と、ありました。

 世界の中の日本・・・アメリカ発の金融危機をきっかけに、輸出で儲けるという発想から抜け出し、真剣に持続可能な日本の産業構造のを有り方を、真剣に考えるときがきていると思います。

 日本共産党は、その展望を「農業再生プラン」と「緊急経済提言」で示していることの意味の大きさに改めて気づかされました。

2008年9月20日 (土)

生活保護で生きることは悪いことなのか?

 船橋地区労働組合連合会社会保障推進船橋市協議会の共催で「生活保護で生きることは悪いことなのか?」というテーマで講演会が開かれ、専修大学の唐鎌直義教授のお話を聞いてきました。

 日本で生活保護を受けている割合は、40数世帯に1世帯。フランスでは、7世帯に1世帯。イギリスでは、4世帯に1世帯が受けているそうです。イギリスもはじめからそうだったわけではなく、「生きさせろ!」という、国民のたたかいがあって、生活保護で生きることを、社会が認める、受給者の社会的地位が、合意になってきたそうです。

 チャールズ・ブース(1886~1903)という研究者が、ロンドンのハックニー地区(2466世帯)の職業と収入を調べたところ、35.2%が、「質素だが、他人に頼らなくても済む暮らし」ができない、極貧、貧困層にあたることを、明らかにしました。

 さらに、極貧の人たちの職業は、港湾労働者が多く。年金がなかったため、障害者や高齢者が、生活できず必要にせまられて多く働いていたそうです。船が入ってこないと仕事がなく。今でいう日雇い。ブースは、不当に安い賃金で働かされている半失業状態のこの階層の賃金が低いことが、労働者全体の賃金を下げることになると考え、その層を社会保障によって救うこと、不安定な働き方をする人を生み出さないことによって、全体があがるはずだと指摘。

 そして、年金制度や、医療保障、児童手当などの社会保障の充実と合わせて、不当な働かせ方(賃金や労働時間など)をチェックする機能としての職業紹介所の創設を主張したそうです。

 さらに、貧困の原因を調査すると、「飲酒や、浪費癖」など習慣に問題があった人は、13%。「病気、虚弱、大家族」など境遇が、19%。圧倒的多くの68%の人は、低賃金、不安定雇用による不規則な賃金など、雇用状態に原因があることを明らかにします。

 つまり、貧困は、個人の自己責任で解決できるものではなく、社会構造によって生み出されているということです。

 日本は、いま、アメリカについで、貧困が世界的に拡大している国と言われています。そうなってしまった原因は明確だと思います。構造改革、規制緩和と叫びながら、けっきょく、低賃金の労働者(日雇い、派遣、請負など)を作り出し、拡大した。さらに、毎年、毎年2200億円ずつ、社会保障費を削減し、ブースが主張した、社会保障の拡充による貧困層の底上げすらやらなくなってしまったせいです。

 その結果、一部の輸出巨大企業だけが、労働者を長時間安く働かせることによって、戦後最大の儲けをあげ、役員報酬、株主配当が、何十倍にもはねあがり、セレブと言われる大金持ちと、ワーキングプアー、ネットカフェ難民など食べていくことするままならない貧困層を作り出し、格差と貧困が拡大した今の日本社会を作りだしてしまったのだと思います。

 そして、それを推進してきた自民党政治が行き詰まっているのが、今の状態ではないでしょうか。このままでは、日本の先行きは暗い。そもそも自分の生活の先が見えない。この今の日本の状況を変えるのは、簡単だと思います。ブースが指摘していること、イギリスやフランスでやっているこを実践すれば良いだけだと私は思うんです。日本共産党は、社会保障を充実すべきだ、まともに働けるルールを確立すべきだと、ずーと提案しつづけています。なぜ、そんな当たり前のことが出来ないのでしょうか???

 口を開けば財政難→消費税増税という前に、今私たち国民が納めている税金の使い道の優先順位を、抜本的に切りかえれば、一番に社会保障に使うようにすれば、いくらでも実現可能だと思うのですが。

2008年7月 8日 (火)

サミット対抗行動

 7月3日~7日まで、北海道に行ってきました。

 洞爺湖で行われるG8サミットに合わせ、世界のNGOが集まって札幌で行われた対抗行動に参加してきました。

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 私は、世界の農民組織「ビア・カンペシーナ」、食健連、農民連が主催した「食糧主権・地球温暖化国際フォーラム」をはじめ、世界の青年・女性の交流会。ピースパレードなどに参加しました。

 途上国の小規模農民は、ほそぞそとであっても、自給自足をしていました。しかし、いきなり乗り込んできた巨大多国籍企業に、自ら耕してきた土地を奪われ、バイオ燃料の原料になる作物を作らされ、安く買いたたかれる。そして、自ら食べる食糧を、多国籍企業から買わなければならない、という現状が告発されました。

 世界の小規模農民は、食糧危機で誰が儲けているのか、自分たちを苦しめている敵は誰かを明らかにし、自分たちの生存をかけて、いま立ち上がり、たたかいを起こし始めています。まさに、自分たちの食べるモノを、誰にもじゃまされずに、作ることが出来る、当たり前の権利!「食糧主権」を掲げた、たたかいを。

 私が、触れ合った海外代表の人たちは、目が輝き、イキイキとしていました。様々な企画で、熱気とパワーがあふれ、大きな刺激を得た4日間でした。

 その詳細は、どこかで紹介したいと思います。

2008年6月 1日 (日)

国際フォーラム-G8に向けて

 国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(食健連)主催の、国際フォーラム「温暖化・食糧問題と食糧主権-G8洞爺湖サミットに向けて-」に参加してきました。

 パネリストは、3人

 世界130カ国以上、3700人以上の研究者・専門化が関わり、温暖化の影響について報告をまとめたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)のメンバーで、国立環境研究所特別客員研究員の西岡秀三さん

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 ビア・カンペシーナ国際代表のヘンリー・サラギさん。ビア・カンペシーナとは、40ヶ国以上の農民組合等で構成される国際農民組織で、日本では農民連が加入しています。サラグさんは、インドネシアで農業を営む農民で、昨年イギリスのガーディアン紙が選んだ「地球を救う50人」に選ばれた方。

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 農民運動全国連合会(農民連)副会長の真嶋良孝さん。「いまこそ日本でも食糧主権の確立を!このままでは食べ物がなくなる?-ウソのようなホントの話」(600円)の著者。このパンフは、国際部長をされている真嶋さん自身の体験などを通じて、いま世界がどうなっているのか?日本が何をなすべきか?が非常にわかりやすくまとまっていて、私も学習会などで紹介し、「ぜひ読んでください」とお勧めしています。

 one西岡さんは、10~20年内をピークにCO2の大幅な削減が求められていること。CO2削減のために、あらゆることを真剣にやれば、1990年に比べて70%減らせる可能性があることなどが紹介され、スライドで映し出された、田園風景の中には、山があり、田がありと、食糧生産だけではなく、景観、国土保全、癒し、など、数え切れないほどの役割があることが紹介されました。

 twoサラギさんは、食糧危機は農業の自由化によって起こったと強調。国際市場に低価格の農産物を流通させ、インドネシア、フィリピン、タイなどの農業国を、次々輸入国にしていった。農村の人こそ飢えている。誰に責任があるのか?

 そして、バイオ(アグロ)燃料について、もっと注意する必要がある。どれだけが燃料になっているのか?作っている人たちにどう影響を与えているか?森林の伐採など。誰が利益を得ているのか?多国籍企業が、種子、肥料、大規模プランテーションを持っている。インドネシアでは、60%が農民だが、土地は他国の大企業によって支配されている。貧困が進み、食糧が変えない。農村と貧しい人が手を結び、G8サミットに向けて、国に圧力をかけ、私たちの立場をつきつける必要だある。

 three真嶋さんは、穀物価格の高騰によって、深刻な飢餓が新たに生み出され広がっていること、その背景で、アグリビジネス企業(穀物メジャー)が、昨年比で、8倍~20倍近い利益を上げている実態を紹介。投機を規制する必要があることを強調。また、日本で減反をしながら、米を輸入しているミニマムアクセス米やWTOの異常さ。輸入は、遠距離を運ぶために石油を浪費し、CO2を排出する。温暖化にとってもマイナス。などの話がされました。

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 会場からも、消費者、水産、林業など様々な立場からの発言が次々だされました。

 シンポジュームに参加して、儲けるためのグローバリゼーションは、地球を破滅させると実感しました。

 特にサラギさんの話・・・熱帯のインドネシアに、寒い地域のヨーロッパ風の家を建てさせようとしている。その家には、エアコンが必要になる。もともと、自転車で行き来していた都市の人は、車やバイクに乗り始めた。ゲーム、アニメ、映画で、このような文化が、他の国の文化を支配し、地元のローカルな文化が奪われている。食、文化、エネルギーの主権を守る必要がある。と、

 それを受けて、西岡さんも「日本型、アメリカ型の文化、ライフスタイルを押し付けるな。自分たちの文化を見直す必要がある。なにが風土にあった生活なのか。地産地消、旬産旬消を」と。

 そして、最後に真嶋さんは、「“産直”を世界語にしましょう。過労死や孤独死ではなく!」と。

 本当にその通りだと思った。いま、世界中が、一握りの多国籍企業や、投機ファンドによって、命を奪われようとしている。そして、46億年かけて作られてきた地球が破壊され、人類の生存事態が危険にさらされようとしている。サラギさんは「地球全体の人たちが、この同じ問題に直面をしている。国際的な運動に合流していくことで、変わってくると思います。連帯の原則で、地元の人々の文化を、非暴力で、集団の意志決定、行動は創造的でなければなりません。たたかいは長くつづく、希望をたっせいするために」

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 いま、世界は市民の力によって動き始めていること、その力をさらに大きくしていくことが必要であることを実感した一日でした。 

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